本記事ではDaVinciResolveやFusionのパッケージマネージャーであるReactorの導入方法や使い方について解説します。
ReactorはWe Suck Lessコミュニティによって作成されており、GitLabにReactorのドキュメントが公開されていますので、We Suck Less公式のドキュメント(英語)を参照したい方は併せてチェックしてみてください。

Reactorは上図のように複数の拡張プラグインをまとめて管理でき、無償版・有償版問わず利用することができます。(有償版のみに対応したツールなどは存在します)
各種ツールの使用方法や実例を本記事の後半で紹介していますので、まだReactorを使ったことがない方や、気になっている方はぜひ見てみてください!
Reactorをインストールする
それではReactorのインストール方法を確認していきましょう。
ReactorはDaVinciResolveとスタンドアロンのFusionの両方で使用することができます。それぞれの差異や注意点については適宜説明をはさみながら進めていきます。
インストーラーをダウンロードする

ReactorのインストーラーをWe Suck Lessコミュニティのこちらのページ(Getting started with Reactor)のDownload the Reactor Installer Script hereのリンクからダウンロードします。
Reactorをインストールする
ダウンロードしたReactor-Installer.luaという名前のファイルを使用してReactorのインストールを開始します。
ステップ1

DaVinciResolveの場合はFusionページ上のNodeビューにファイルをドラッグ&ドロップしてインストールします。

スタンドアロンのFusionの場合も同様にNodesビュー上にインストーラーファイルをドラッグ&ドロップするとインストールを開始することができます。
インストーラをドラッグ&ドロップすると以下のようにインストールの準備ができたことを示すウインドウが表示されるので、Install and Launchをクリックしてインストールを開始します。

インストールの状況や結果は、Reactor-Installer.luaファイルが置いてあるフォルダにReactorInstallLog.txtとして出力されます。うまくインストールできない場合はまずこちらのログにどのようなエラーが記録されているかを確認してみましょう。
ユーザーフォルダが日本語になっているとインストールがうまく実行できないようですのでご注意ください。
ステップ2
Install and Launchをクリックすると下図のようにインストール状況を示すウインドウが表示されます。完了までしばらく待ちましょう。

インストールが完了すると初期化処理が走ります。

これらの処理がすべて完了すると、冒頭で紹介したReactorの管理画面が表示されます。
インストール作業はこれで完了です!
Reactorの使い方
Reactorのインストールが完了後に表示された管理画面(パッケージマネージャー)を使って、目的の拡張プラグインをインストールする方法を確認していきましょう。
もし閉じてしまった場合は以下の方法でReactorを起動できます。
- DaVinciResolve:画面上部のメニューからワークスペース>スクリプト>Comp>Reactor>Open Reactor…の順にクリックすることでReactorを起動できます。
- Fusion:画面上部のメニューからScript>Reactor>Open Reactor…の順にクリックして起動します。
拡張プラグインをインストールする
ステップ1
パッケージマネージャーの検索メニューに利用したい拡張プラグインの名前を入力すると、下図のように絞り込むことができます。

ここではLoopというツールを利用したいので「loop」と入力して絞り込みました。
チェックをつけると、次のような画面が表示されます。

拡張プラグインの作成者に寄付をするかどうかを選択することができます。ひとまず寄付をせずにツールをインストールする場合は「Not right now… but I will consider it!(今はいいかな… だけど考えとくよ!)」にチェックをつけるとそのままインストール処理が続行されます。
作成者の応援をしたい!と思ったら「Shut up and take my money!(いいから黙ってお金を持っていきな!)」を選択して所定の方法で寄付をしてみても良いと思います^^
インストール処理が終わったら、拡張プラグインを有効化するためにDaVinciResolveまたはFusionを再起動してください。
ステップ2

再起動が完了したら拡張プラグインのインストールは完了です。
今回インストールした「Loop」はマクロとして配布されているため、エフェクトライブラリのTools>Macrosから確認することができます。
その他にも追加したマクロなどがこちらに表示されます。

また通常のノードのようにNodeビュー上でShift+Spaceメニューから検索して呼び出すこともできます。
拡張プラグインをアンインストールしたい場合は、パッケージマネージャーからチェックを外してDaVinciResolveまたはFusionを再起動すればOKです。

Suck Less Audioのように、Modifiersの拡張プラグインを追加した場合は、図のようにパラメータを右クリックして表示されるModify Withメニューから選択することができます。
※Suck Less Audioを追加すると Audio (WAV)メニューが追加されます。ModifiersはエフェクトライブラリやShift+Spaceメニューでは表示されません。
各種メニュー

覚えておくと便利なメニューについてご紹介します。
- ワークスペース>コンソール メニュー
Reactorのメニューではありませんが、コンソール画面を表示させて拡張プラグインの動作状況などを確認することができます。うまく動作しない場合にどのようなエラーが出力されているのかを確認しましょう。 - Show Comps Folder
Reactorで追加したテンプレート(Compファイル)の格納場所を開きます。DaVinciResolveとFusionで格納場所が異なります。
DaVinciResolveの場合:
C:\ProgramData\Blackmagic Design\DaVinci Resolve\Fusion\Reactor\Deploy\Comps
Fusionの場合:
C:\ProgramData\Blackmagic Design\Fusion\Reactor\Deploy\Comps - Reinstall Reactor
Reactorを再インストールしたい場合はこちらから実行できます。
追加したマクロは以下のフォルダに格納されています。
DaVinciResolveの場合:
C:\ProgramData\Blackmagic Design\DaVinci Resolve\Fusion\Reactor\Deploy\Macros
Fusionの場合:
C:\ProgramData\Blackmagic Design\Fusion\Reactor\Deploy\Macros
拡張プラグインの利用例
Reactorをインストールできたら、実際にいろいろな拡張プラグインを使ってみましょう!
ここからは筆者が実際に試した拡張プラグインについてご紹介します。面白そうだなと思ったらぜひ試してみてください^^
それぞれの記事ではSettingsファイルやCompファイルをダウンロードでき、ご自由に利用していただいて構いません。
Loop
Loopはノード構成でループの始まりと終わりを指定し、設定したフレーム分処理をループさせてその結果を得ることができるツールです。
Reactorに入っているツール”Loop”が面白そう😳
— mitsuba (@mitsuba29448177) May 2, 2021
指定範囲の処理をループさせることでいろんな出力が得られます。いじりがいがありすぎて、昨日はずっと触ってました笑#DaVinciResolve pic.twitter.com/0bFz0DOwQW
こちらのサンプルは反応拡散モデルというものをLoopで実現したものになっています。
このツールの使い方の詳細は以下の記事で解説していますので、興味のある方は是非ご確認ください。
Sprut2
Sprut2は流体シミュレーションした結果を得ることができるツールです。詳細は以下の動画を見ていただいた方がわかりやすいです。
オブジェクトを動かして、その軌跡を流体のようにモヤモヤっと表示させることができるツールとなっています。かっこいいですよね。
この機能を利用して、文字を書いたりしてみました^^
Fusionでお習字🤓🪄~永
— mitsuba (@mitsuba29448177) May 15, 2021
Sprut2の使い方が少しずつ分かってきたかも…しれない#DaVinciResolve#FusionStudio pic.twitter.com/d4mZVokIfn
ツールの使い方や文字を書く方法、各種パラメータについての詳細は以下の記事でご紹介しています。
RainierMood

RainierMoodは、ノードを接続するだけで簡単に波を作ることができるツールです。
こんな風にリアルな水の波紋を表現したり、
ちょっと漫画チックな波紋を作成したりできます!
雨ばっかりなのでRainierMoodで波紋を作ってみました🌀
— mitsuba (@mitsuba29448177) May 22, 2021
🤠波紋エネルギーこそ「仙道」パワー!!#jojo #DaVinciResolve #FusionStudio#Reactor pic.twitter.com/A71W06diDn
割と簡単に使うことのできるお手軽なツールなので、気になる方はこちらの記事をご確認ください。
BLITZ
BLITZは、リアルな稲妻や電気を作成することができるかっこいいツールです。

このツールを使って、善逸の霹靂一閃(鬼滅の刃)に合う表現を作成してみました。
雷の呼吸 壱ノ型 霹靂 一閃!#鬼滅の刃#DaVinciResolve #FusionStudio#Reactor#BLITZ pic.twitter.com/mXksuOw4hb
— mitsuba (@mitsuba29448177) May 30, 2021
雷を二次元っぽくしたり、雷らしさを表現するにはどうすれば良いかを筆者なりに考えた内容を以下の記事にまとめていますので、ぜひご確認ください!
FUI Design Tool
FUI Design Toolは、FUI(Future User Interfaceや、Fictional User Interfaceなどと呼ばれる未来っぽいインターフェース)を作るために用意されたツールです。
FUI Design Toolを使用してこんな感じのインターフェースを作る方法をまとめました🤖https://t.co/jaUhDLXZFI#DaVinciResolve #FusionStudio#Reactor pic.twitter.com/e9tivo8gQc
— mitsuba (@mitsuba29448177) June 20, 2021
このようなインターフェースを作る場合、通常だとEllipseやShapeツールを使用しますがFUI Design Toolにはこれらを作成するために必要な要素がギュッとまとめられています。
ちょうどこんな感じのものが作りたかった!という方はこちらの記事で紹介していますので是非ご確認ください。
MT_GlitchTools
MT_GlitchToolsは、色収差やブロックノイズなどグリッチ表現に使えるエフェクトが19個も含まれている面白いツールです。
MT_GlitchTools には色収差やブロックノイズなど、グリッチ表現に使えるエフェクトがいろいろ含まれていて楽しいです🥳(ちょっと音が出ます)#DaVinciResolve #FusionStudio#Reactor pic.twitter.com/GGNQnSR0td
— mitsuba (@mitsuba29448177) July 22, 2021
グリッチを作ろうとしている方やグリッチに味付けするネタを探している方はぜひチェックしてみてください!
Spherize
レンズ越しで見たときのような、湾曲したエフェクトを作りたいときにはSpherizeが便利かもしれません。
Spherizeを使うと、こんな感じで指定範囲を湾曲させることができます🧜おもしろい🥳#DaVinciResolve #Reactor#Krokodove pic.twitter.com/PxIJKSGZbQ
— mitsuba (@mitsuba29448177) September 5, 2021
有償版のDavinci resolveでしか利用できないKrokodoveに含まれるツールではありますが、割と簡単に利用できますので気になった方はこちらをチェックしてみてください!
さいごに
DaVinciResolveやFusionはこれ自体が無償版でも十分に高機能なソフトですが、Reactorを使うとさらに便利な拡張プラグインを利用することができます。
これらのツールを作成してくれた作者の方々には感謝ですし、We Suck Less上で作者やエキスパート達のやり取りを見るのも面白いです。
ぜひこの機会に使ったことのないツールにも手を出してみてください!
今後も試したツールの使い方や作例については当サイトで公開していきたいと考えていますので、気が向いたときにでも覗いてみていただけると嬉しいです^^
以上です!